工期短縮方法
当社では、TOC(制約理論)に基づく『CCPM(クリティカルチェーン・プロジェクトマネジメント)』を建設業における改修工事(主に建築設備やプラント設備の、基幹改良工事・省エネ改修工事・部分改修工事など)の、工期短縮と引渡し日遵守率の向上に活用しております。
本ページでは、CCPMについて概要をお伝えいたします。
プロジェクトマネジメントとは
プロジェクトとは何かと聞かれて、その定義をきちんと説明できない方も多いのではないでしょうか。何となく、プロジェクトという言葉を使用されている方も多いかもしれません。
しかしながら、プロジェクトには明確な定義があります。
◇プロジェクト:独自のプロダクト、サービス、所産を創造するために実施される有期的な業務。(PMBOKガイドより)
簡単に申しますと、「初めて経験する要素が含まれてる目的・目標を設定し、明確な開始日と終了日に則り、達成させる活動」のことです。
そして、プロジェクトに対義語はありませんが、あえて申し上げるならば、「定常業務」ということになります。
プロジェクトマネジメントと申しますと、日本国内ではソフトウェア開発などのIT分野のイメージが強いかもしれませんが、もともとIT発祥ではなく、歴史上はじめてプロジェクトマネジメントを意識したプロジェクトは、第二次世界大戦中のマンハッタン計画ではないかとも言われております。またその後のアポロ計画なども、プロジェクトとして科学的な成功事例となります。その後、ソフトウェア開発に応用される流れとなりました。
プロジェクトマネジメントのデファクトスタンダードに、PMBOKガイド(ピンボックと読みます)というものがあります。PMIという団体が発表しているもので、このPMBOKを基に、ISO21500として国際標準化もされております。またイギリスには、PRINCE2というものがあり、日本では経済産業省の指導の下開発されたP2Mというものがありますが、日本国内の主流はPMBOKガイドによるプロジェクトマネジメントとなります。
PMBOKは全ての分野に適用可能とされるもので、当社では建設業関連に活用しております。
予測型と適応型とは
プロジェクトマネジメントは、大きく分けて下記2つのアプローチがあります。
◇予測型(または、ウォーターフォール型といいます)
◇適応型(または、アジャイル型といいます)
また、上記2つのアプローチを混在させた、ハイブリッド型というものありますが、まずは予測型と適応型を理解していただければと思います。
『予測型』は、段階的進行により、例えば「要件定義」「設計」「開発」「テスト」「運用・保守」のように、各工程を滝が流れ落ちるように順番に進めます。前の工程が完了しなければ、次の工程に進むことはありません。また、計画重視のためプロジェクト開始前に全体の計画を綿密に立てます。ゴールの形が見えている建設業関連は、この予測型のマネジメントが基本となります。
『適応型』は、変化に柔軟に対応しながら、短い開発サイクルを繰り返す開発モデルです。反復的開発により、例えば「計画」「設計」「開発」「テスト」のサイクルを短い期間で繰り返し、段階的に機能を実装していきます。そのため、開発途中に仕様変更が発生しても、柔軟に対応することが可能です。ただし、この手法はソフトウェア開発などでは有用ですが、建設業関連のようにゴールの形が決まっている場合には、全体的な適用は難しいと考えられます。
当社では、建設業関連が主なため、予測型(ウォーターフォール型)がベースとなります。
TOC(制約理論)とは
PMBOKにおける予測型(ウォーターフォール型)プロジェクトマネジメントは、あくまで全業種共通の型のようなもので、当然万能というわけにはいきません。プロジェクト毎の特徴や、プロジェクトメンバーによっても、マネジメント手法をカスタマイズする必要があります。
しかし、千差万別なプロジェクトがある中、どのようにマネジメント手法をカスタマイズすればいいのか難しいところです。
そこで、ある経営管理手法が注目されました。それが『TOC(制約理論)』です。
TOCは、イスラエルの物理学者エリヤフ・M・ゴールドラット博士が提唱し、1984年に執筆した「ザ・ゴール」という小説により世界中に広がりました。
TOCは、組織やシステム全体の目標達成を阻害する「制約(ボトルネック)」に焦点を当て、その制約を改善することで、全体のパフォーマンスを最大化する経営管理手法です。どのようなシステムにも、目標達成を制限する制約が必ず存在します。制約は、物理的なもの(設備、人員など)だけでなく、規則や方針など、目に見えないものも含まれます。制約以外の部分を改善しても、全体のパフォーマンス向上には繋がりにくいと考えられ、全体のパフォーマンスを向上させるには、制約に集中して改善を行うことが最も効果的とされています。
CCPMとは
そして本題のCCPM(クリティカルチェーン・プロジェクトマネジメント)についてです。
CCPMは、簡単に申しますと、前述のTOCををプロジェクトマネジメントに応用したものです。
プロジェクトマネジメントには、クリティカルパス(クリティカルチェーンとは異なります)と呼ばれるものがあります。これは、プロジェクトを完了するために必要な一連のタスクの中で、最も時間のかかる経路のことです。
このクリティカルパスにTOCの考えを組込み、再構成したプロジェクト完了までの最長経路を「クリティカルチェーン」といいます。CCPMは、このクリティカルチェーンに焦点を当て、集中的に管理します。
また、各タスクから余裕時間(バッファ)を取り除き、プロジェクト全体の最後にまとめてバッファを設けることで、プロジェクト全体の遅延リスクを軽減します。
そして、リソースの制約を考慮しながら、効率的なリソース配分を行うことで、プロジェクトの遅延を防ぎます。
当社では、建設業における建築設備やプラント設備における、基幹改良工事・省エネ改修工事・部分改修工事などの、工期短縮と引渡し日遵守率の向上を目的とし、予測型(ウォーターフォール型)プロジェクトマネジメントをベースに、TOCに基づくCCPMを応用しております。